むち打ち症と後遺障害

MRI画像

「むち打ち症」は、ラグビーや柔道など、対人接触のある激しいスポーツ、日常生活でのしりもちなどでも生じます。
しかし、「むち打ち症」の80%以上が、追突、衝突、急停車等という自動車事故で生じています。

こちらでは、「むち打ち症」の基礎知識と後遺障害等級認定について説明しています。

むち打ち症とは

「むち打ち症」とは、頸部に様々な症状が出現する疾患です。

人の頭部は、身体の上に不安定な状態で乗っています。
強い外からの衝撃で、むちを振り回すようなS字形の動きを強いられることで、「むち打ち症」の症状が出現します。

「むち打ち症」は,総称したもので、それぞれは、「頸部捻挫」「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」と呼ぶ傷病名で診断されます。

むち打ち症の症状

交通事故直後の症状(急性期)

首筋・背中・肩のこりや痛み、耳鳴り、頭痛、めまい、吐き気、食欲不振などの症状が出現する可能性があります。

これらの症状は、事故後ただちにより、2、3日後、またはそれ以上の期間が経過した後に、症状が現れる場合が多いようです。

事故後、早い時期の症状は、自然に治癒してゆき、一般的には長期化はせずに、1ヶ月ほどで治療が終了することが、ほとんどと言われています。

慢性化した場合の症状

事故後、「むち打ち症」の症状が続き、慢性化する場合もあります。

主な症状:首筋・背中・肩の痛み、頭痛、めまい
受傷のタイプによる症状
  • 頚椎捻挫型=肩が重い、首の筋肉の痛み
  • 自律神経障害型=肩こり、頭痛、吐き気、耳鳴り
  • 神経根損傷型=腕の強い痛み
  • 脊髄損傷型=手足のまひ

首の周囲に密集した自律神経機能傷害がでている場合は、バレ・リュー症候群と呼ばれます。

むち打ち症の診断

主な診断

「むち打ち症」は、X線、MRI などの画像による他覚的所見による診断が困難です。

自覚症状の問診と視診、触診によって診断されます。

検査方法

関節可動域測定
筋力測定
腱反射・病的反射テスト
知覚検査
神経学的検査(スパークリングテスト、ジャクソンテスト)

これらの検査によって、自覚症状をできる限り客観化することが出来ます。

交通事故の後遺障害等級認定において、ポイントとなる部分です。

むち打ち症での後遺障害等級認定

「むち打ち症」の場合、他覚的所見に乏しく、症状の多くが、自覚症状として被害者が訴えるのみという場合がおおくあります。
そのため、「詐病」ではないかと疑われやすく、損害賠償、後遺障害等級認定において、問題となります。

しかし、一定の症状があり、それによって日常生活に影響がでているのであれば、後遺障害等級が認められます。

自賠責法における後遺症等級

自賠責保険の後遺障害の基準等級

「医学的な証明」とは

「医学的な証明」とは、他覚的所見が存在することを意味しています。

12級が認定される場合

他覚的所見として、画像診断や神経学的所見などが認められる場合。

14級が認定される場合

受傷状況・症状・治療経過・臨床所見などから、現在の症状が交通事故を原因とする外傷として発生していると説明可能な場合。

後遺障害等級認定のポイント

「むち打ち症」の後遺障害等級認定において、問題となるのは、「詐病」ではないかと疑われやすいということです。

ポイントとなる点

12級:医学的な他覚的所見を、いかにして集め、認定申請の証明とするか・・・

14級:交通事故と症状との因果関係をいかにして示すか・・・
14級:交通事故によって日常生活に影響がでていることをいかに示すか・・・

行政書士 わたなべ法務事務所からのご提案

「むち打ち」は、後遺障害の中でも「目に見えにくい障害」です。
症状の裏付けは、他覚的所見に乏しく、数値的にも表されにくく、難しい部分があります。

また、保険会社は必ずしも協力的ではなく、医師も、後遺障害の認定実務に詳しくない場合もあります。

一般の方が、専門的知識もなく取組みますと、提出する書類の精査もせずに、ただ症状を訴えるだけとなって、後遺障害等級が認定されない結果となってしまいます。

「非該当」となっても、異議申し立て手続きが認められています。
その際には、「非該当」の理由、訴えていく症状の精査、提出した立証資料の精査、新たな立証資料の検討などを行い、異議申し立てをする必要があります。

初回の後遺障害等級認定においても、異議申し立てにおいても、重要なことは、客観的な立証の積み重ねです。

後遺障害等級認定では、専門知識、認定実務経験、第三者としての客観的な目が、必要となってきます。

早い時期での、行政書士 わたなべ法務事務所へのご相談、ご依頼が、後遺障害等級認定のポイントと考えます。


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「治療費打ち切り」にビックリ!

CTスキャン交通事故に遭われた被害者の方、まずはケガを治療してそれまでの生活へ戻られることを考えますよね。

しかし、交通事故の発生からある一定の期間がすぎたところで・・・

「今月末で治療を中止としてください。来月以降は、治療費を支払いません。」
「今月末に症状固定にして、後遺障害診断書の提出をしてください。」

などと、加害者や保険会社から伝えられる場合があります。

「治療費打ち切り」です。

ビックリしてしまいますが、慌てることはありません。冷静に対応しましょう!!

 治療費打ち切りへの対処法

なぜ保険会社は「治療費打ち切り」を告げてくるのか・・・

通常の交通事故では、任意保険の損害保険会社が「一括請求」という保険金の請求方法によって、被害者となった方との交渉、支払いを行います。

損害保険会社も一企業です。
無駄な保険金(経費)は、支払わない方針であろうことは、想像ができます。

いつまでも無制限に、保険金が支払われる訳ではありません。

損害保険会社は、一般的に、頸椎捻挫は3ヵ月もすれば症状は治まることが多いと言われていることから、比較的軽いケガと判断した場合、3ヵ月程度で、「治療費打ち切り」を告げてきます。
治療の打ち切りとは、損害保険会社が「治療費を支払わない」と言ってきているだけで、治療を行ってはいけないということではありません。
治療を続けるか、続けないかは患者の自由です。

また、損害保険会社から、治療の打ち切りとともに、後遺障害の申請をするようにと伝えられたとしても、症状固定とする時期は強制されるものではありません。
損害保険会社は、加害者としてその治療費を負担するか、負担しないかという事を交渉しているに過ぎないのです。

治療が必要なことを証明すれば、治療費は認められ、支払われます。

「治療費打ち切り」どうしましょう・・・

「医師への確認をおこないましょう!」

「治療費打ち切り」の判断となる、症状固定の判断は、実際の治療に当たった医師の意見が重視されます。

まずは、治療を受けてきた医師に、自分の状態が「症状固定」に達しているのか否かを確認します。

医師が「症状固定」との判断であれば,「治療費打ち切り」となります。

しかし,医師が「まだ症状固定ではありません。」、「まだ、治療を続ける必要があります。」との判断であれば,医師の判断に基づいて、交渉が可能です。

損害保険会社との交渉

医師の意見を、加害者側との示談交渉や裁判等で争うときのために備え、診断書などの書面で残しておくようにして下さい。

これらの書面によって,加害者、損害保険会社へ治療が引き続き必要であることを伝えます。

損害保険会社は、被害者である貴方からの「同意書」を根拠に、医師からの「診断書」(自賠様式)を受け取り、治療の状況を確認する「医療調査」を行なっています。 この診断書、「医療調査」において、「症状固定は未了である。」または、「治療の継続が必要である。」と損害保険会社に対して表明してもらいます。

すでに、治療費の支払いが打ち切られてしまっている場合は、医師からの診断書を損害保険会社に送付して、交渉することとなります。

いずれにしても、医師の理解、協力が必要です。

交通事故の治療では、医師との間に強い信頼関係が必要となる場面が生じることが予想されるので、治療の当初から、医師と良い関係を築くように心がけるようにしましょう。

後遺障害等級認定を考慮した対処法

治療費を自己負担とし、後遺障害等級認定を求める

交通事故後3か月程での「治療費打ち切り」で、ケガの痛みが残り治療を継続したい方は、自己の負担を抑えるために、医師との相談の上、健康保険を使って引き続き治療を続けます

そして、後遺障害等級認定申請の可能性があれば、症状固定として、治療費と後遺障害の申請を合わせて自賠責に対して行います。

後遺障害等級認定申請の可能性がない場合は、最終的な加害者との示談の際に、治療費の支払い義務を交渉します。

治療内容の明確化のため、治療費の領収書、治療明細を保存しておく必要があります。

治療を継続し、後遺障害等級認定申請の可能性を判断することは、一般の方には難しいことです。 専門家へのご相談をお勧めします。

医師の症状固定の判断時に、後遺障害等級認定を求める

症状固定の判断時に、「痛みが残っている」、「傷跡が残っている」、「関節が動かなくなった」など、障害が残しまった場合には、後遺障害等級認定を申請します。

後遺障害等級が認定されれば、症状固定後は、後遺障害慰謝料、逸失利益として補償が受けられます。症状固定日のイメージ図

この場合に、医師とのご相談はもちろんですが、確実な後遺障害認定には、専門家へのご相談をお勧めします。

適切な治療打切り、適切な症状固定が求められ、難しい判断ですが、医師、専門家との連携を行なって対応していく必要があります。


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交通事故のケガ治療、病院との対応3つのポイント

病院の廊下

交通事故の被害者となって、ケガの治療を行う差の病院との対応について、注意事項など解説しています。


治療費の支払い方法

交通事故の被害者となった方が、病院で治療を受けた場合、基本的には治療費の支払い義務は、患者となった被害者にあります。

加害者が、任意保険に加入している場合(通常の場合)

任意保険会社が、被害者が治療を受けている病院と連絡を取り、直接病院へ治療費を支払う運用がされています。

被害者となられた方が、治療費を立替え払いをし、後日、保険会社へ請求するような形となっておる場合は、早急に保険会社が病院へ直接支払うような対応へ移行するよう、保険会社へ申し入れてください。
後の治療費の請求に対して、加害者と争いとなって、治療費の支払いが行われないというようなこととならないようにするためです。

加害者が、任意保険に加入していない場合

被害者が、一旦、 治療費を立替え払いをし、後日、自賠責保険へ加害者請求することとなります。
自賠責保険の障害の賠償は、120万円が限度額ですので、健康保険を利用することが懸命かと思います。

治療を受けている病院で、治療費の部分のみ、自賠責保険へ請求を行ってもらえる場合もあります。
その際は、病院側へ委任状を渡す必要があります。治療費以外の部分は、被害者請求を行う必要があります。

自由診療か、保険診療か

交通事故での治療で、健康保険が使えることは以前にも書きました。

交通事故では、健康保険が使えない・・・?!

自由診療は、医療行為の内容や診療報酬に、制限のない診療のことですが、現在では、ほとんどの薬、治療方法の費用が健康保険で認められています。医学的水準に照らしても、健康保険の治療の範囲で十分な治療と考えられます。

被害者の過失が大きい場合、入院期間が長期になり治療費が高額になる可能性が高い場合、保険診療の方が、被害者の最終的に受け取る金額が多くなると考えられます。

病院での治療が、自由診療で進められていても、健康保険による治療が有利と判断した場合には、病院側の了解を得て、保険会社と相談し、健康保険による診療を受けるのが得策です。

病院との対応

交通事故の被害者となった場合、その後の、損害賠償の交渉、訴訟の準備などでは、治療費関係や後遺障害、死亡の事実などを把握するために、病院側が有しているさまざまな資料が必要となります。病院とは適切な対応を心がけておくべきでしょう。

担当医師との関係

患者として、担当医師からケガの状況を聞くのはもちろんですが、被害者請求を行う場合には、必要書類や資料の提出など、担当医師を通じて要請しなければなりません。患者としての関係をつくるだけでは、足りないかもしれません。

特に、専門家を依頼している場合には、担当医師との面談が必要となる場面がでてきます。

後遺障害が残りそうな場合、症状固定の時期の見通しなどを聞いておきましょう。

その後に、後遺障害診断書を書いてもらう必要がありますが、担当医師が、損害賠償請求手続に精通しているとは限りません。そんな場合には、専門家のアドバイス、サポートが必要となるかもしれません。

担当医師とは、良好なコミュニケーションがとれるうようにしておきましょう。

整骨院、鍼灸院への通院

自賠責保険では、「医師の指示がある場合」に、これらの施術料が認められることとなっています。

被害者の方は、整形外科の治療だけでなく、鍼灸、マッサージを受診する場合が多くあります。このような場合、被害者の方とすれば、施術料は、当然に加害者の負担と考えがちです。

担当医師に相談し、指示を受けるようにしておきましょう。

病院の変更

被害者の引越し、交通事故の現場が遠方だった場合、病院を変更する必要が出てくるかもしれません。

転院をする場合は、任意保険会社に了解を得て、書面にしておく必要があります。


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治療費について ~看護費・交通費~

被害者と救護する人

交通事故の被害に遭われての、「ケガの治療」において、治療にかかった現実の治療費の支払われる範囲は,治療費について において、説明させていただきました。
しかし、治療においては、治療費以外にも様々な費用が必要となります。
今回は、治療費について、の2回目の説明です。

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治療費として認められる費用

付添看護費

付添看護費とは

付添看護費としては、以下の3種類が考えられます。

  • 入院付添費
  • 通院付添費
  • 自宅付添費

付添看護費が認められるためには・・・

交通事故の損害として付添看護費が認められるには,被害者の受傷の部位、程度、被害者の年齢などを考慮して、付添の必要性が求められます。

例えば、

  • 幼児が被害者となった場合、親の付き添いが相当と考えられる。
  • 被害者が重傷で、身の回りの世話が必要な場合、付き添いの必要性が肯定される。

入院付添費の額

  • 職業付添人:原則として全額 近親者付添人:1日当たり、5,500円~7,000円(「青い本」基準)
  • 付添人の交通費は、上記金額に含まれていると考えられています。

通院付添費の額

  • 1日当たり、3、000円~4,000円(「青い本」基準)

介護費

介護費とは

重い後遺障害を負った被害者に対し、症状固定後の将来について必要となる付添看護費のことで、将来介護費とも呼ばれます。

介護費が認められる期間

原則として、平均余命までの期間について認められる。 ただし、ライプニッツ係数を用いて中間利息が控除されます。

介護費が認められる被害者

  • 後遺障害等級1級:常時介護
  • 後遺障害等級2級:随時介護
  • 後遺障害等級1級、2級以外であっても、事案によって、随時介護費がみとめられる場合もあります。

介護費の額

  • 将来、実際に支出が見込まれる額が、損害として認められます。
  • 近親者の常時介護費:1日当たり 8、000円~9、000円(「青い本」基準)

入院雑費

入院雑費とは

入院中、日常的に支出が必要となる日用品費、栄養補給費、通信費、娯楽費、新聞代など。 領収書を特に必要とされません。

入院雑費の額

  • 1日当たり 1、400円~1、600円(「青い本」基準)

交通費

 

駐車中の車

被害者本人が、治療のために入院、通院、転院をした際の交通費が認められます。

公共交通機関の利用

原則として、公共交通機関を利用した金額が、認められます。

タクシーの利用は、傷病の状況(車椅子や松葉杖を使用しなければ移動できない)により、タクシー利用の必要性がある必要があります。

請求に際しては、領収書のとれるものは、準備しておく必要があります。

自家用車の利用

被害者が自家用車を利用した場合の交通費は、実費相当額が認められます。

実費相当額

ガソリン代:1kmあたり15円 病院駐車場代 高層道路料金

家族が被害者を同乗させて、病院へ送った場合、家族について近親者通院付添費が認められます。


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治療費について

けが人、救急救命士

交通事故の被害に遭われると、第一に考えなければならないことは、「ケガの治療」です。

ケガの治療が終了して、損害賠償の交渉、示談の話し合い、となりますが、「ケガの治療」においても考慮すべきポイントがあります。

交通事故のケガの治療、治療費について解説いたします。

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治療費の重要ポイント

負担は、だれがするのか・・・

加害者が任意保険に加入している場合

任意保険の保険会社が、被害者の治療の自己負担分(窓口負担分)を、医療機関との合意により、「一括払い」として、医療機関に直接、支払います。

わが国では、8割ほどが、自賠責保険と任意保険に加入していますので、治療費に関して、被害者は特に考慮することなく治療に専念できるかと思います。

そうでない場合は・・・

加害者が任意保険に加入していない場合

医療費の代理請求

医療機関が、事故の被害者のから医療費請求の委任を受けて、自賠責保険に対し、被害者請求 を被害者に代理して行うという方法。

被害者による支払いと被害者請求

被害者が自分の健康保険を使って治療を受け(健康保険組合へ「第三者行為傷病届」の提出が必要です。)、治療費を支払い、後日、領収書を自賠責保険へ提出して、被害者が支払った治療費を回収すると言う方法です。

こちらは、任意保険に加入していない場合に、やむを得ず行う方法でしょう。

交通事故で怪我をおった被害者の方が、自ら治療費を一旦、負担するというのは、なかなか心情的に割り切れないかもしれません。

加害者による支払いと加害者請求

加害者が被害者の治療費を立替え払いし、後日、領収書を自分の自賠責保険へ提出して、被害者が支払った治療費を回収すると言う方法です。

自賠責保険 + 任意保険 の契約がほとんどで、任意保険会社が示談交渉を代理する現状では、ほとんどないのかもしれません。

また、被害者の方も加害者と直接、しかも医療機関にて関わりを持つというのは、望まないかもしれませんね。

認められる 治療費

被害者の治療費は、症状固定時までの、治療費(医薬品代、手術代など)、入院費が、必要かつ相当な範囲で、実費額が損害として認められます。

注意すべき治療費

必要かつ相当な範囲」での治療は、その治療費が認められますが、過剰診療、高額診療は、診療として認められない場合もあり、注意が必要です。

過剰診療

医学的に、必ずしも必要のない診療・治療のことです。

必ずしも必要とはいえないのですから、賠償請求が認められない場合があります。

高額診療

通常の診療や治療は、健康保険が適用されます。

交通事故の治療の場合、医療機関によっては,健康保険扱いとせずに自由診療扱いとするところもあります。

自由診療は、健康保険の適用される診療・治療報酬に比べて、その報酬は高額となります。

そのため,自由診療が、高額診療と判断され、全額の請求が認められないという場合も考えられます。

交通事故診療においても健康保険の適用が認められます。健康保険の適用のある診療を医療機関に要請するのがよいでしょう。

治療の有効性

医療機関での治療の有効性は、損害として治療費を認定する際に、考慮されるのでしょうか・・・?

つまり、治療としての効果が明らかに認められない場合は、その治療費は認められないのでしょうか・・・?

答えは、「いいえ」。

事故と治療行為との因果関係は否定されず、医療機関が必要として行った治療行為は、結果として無効とされても。治療費が減額されるものではありません。(福岡高判 平成19年2月13日、参照)

整骨院等の治療費

東洋医学による治療費が損害としてみとめられるか」にて説明しています。ご参考ください。

将来の治療費

後遺障害が残ってしまう交通事故の場合,症状固定後にも医師による診療・治療を受けるということがあります。この症状固定後の将来の診療費は、損害として認められるのでしょうか・・・?

後遺障害の残る事故の場合、治療費は、症状固定前(過去)の治療費と症状固定後(将来)の治療費とに分けることができます。

「症状固定」とは

医学的な意味での症状固定それ以上診療や治療を施しても、傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態を言います

賠償上の意味での症状固定 :賠償関係から見た場合は、賠償期間の終期を意味します

つまり、「症状固定」は医学上の問題にみならず、賠償関係における問題をも含みます。

被害者にとっては、極めて大切な事柄です。

医師の一方的な判断で行われることは妥当とは言えません。被害者としても、医師と十二分に相談して、合理的に決定していく必要があります。

症状固定前(過去)の治療費

損害として認められます、よほど例外的場合以外は、争いがないでしょう。

症状固定後(将来)の治療費

改善が見込めない状態である、症状固定後の治療、診療は意味がないとも考えられます。

症状固定後の治療費は、原則的に、傷害である治療費には該当しません。

症状固定後(将来)の治療費が認められる例外

症状固定後において、治療を受けなければ、症状が悪化してしまい、症状固定時の状態を保存できないという 特別な事情 がある場合には、損害として認められる場合もあります。

「特別な事情」とは

医師の指示等が必須でしょう。

症状固定後の診療費を損害として請求するには、医師に将来的に必要となる治療、その治療を行わない場合、どのように症状が悪化するのかについて、事前に、診断書、意見書、鑑定書と言ったものにより、医学的根拠を明確にすることが必要です。

実際の対応は・・・

症状固定時を基準として、固定前(過去)の 治療費 と、固定後(将来)に関しては 逸失利益(後遺障害がなければ得られていたであろう収入等の利益のこと)として、損害賠償金額を算定し、請求していくこととなります。

そのためにも、前記の 症状固定日の設定 は、慎重に行わなければなりません。

慎重に検討し、納得のいく損害賠償で解決しましょう!


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骨格標本

東洋医学による治療費が損害として認められるか

東洋医学による治療、針灸、マッサージ、カイロ、気功、整体、さらに温泉療法などによる費用は、交通事故のよる損害である「治療費」として認められるのでしょうか・・・?

 支払基準

自賠責保険の保険金支払の基準を定めた「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(平成13年金融庁国 土交通省 告示第1号)」には、治療関係費の項目の中で、

  • 柔道整復等の費用
  • 免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。

と定められています。

 まず「免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師」とありますので、対象になるのは、整骨院(柔道整復師)とか針灸、マッサージといった国家資格のあるものと考えられます。

カイロ、気功、整体は民間療法で、国家資格はないですから、認められないものと考えられます。

つぎに、「必要かつ妥当な実費」を認めるとありますが、この文言については、「医師の指示に基づいている場合は、認められる」というのが、実務上の理解です。

しかし、現実に医師が「接骨屋さんに行きなさい」と指示することはありえないでしょうし、整形外科の医師が、「うちの病院じゃなく、近所の接骨屋さんに行ってください。」なんて指示された話なんて聞いたことありません。

結局、「医師の指示があれば」というのは、「医師以外は認めない」という意味とほとんどかわりないと考えられます。


では、医師の指示がない場合、自分の判断で接骨院などでの施術を受けた場合は、全く認められないのでしょうか・・・?

裁判例では、医師の指示がなくても、東洋医学による治療の治療費を損害として認めたものがあります。

その際には、以下のような各要素を総合的に考慮して,損害として認めることができるかどうかを判断していると考えられます。

  • 施術の必要性があること
  • 施術の有効性があること
  • 施術の期間が合理的であること
  • 施術費用が相当であること

裁判例の内容確認はコチラのページ


交通事故の治療はどうすれば・・・

事故後

まずは病院(西洋医学)での治療を受けるべきです。

いきなり東洋医学の施術のみで治療を行った場合、病院での治療を行わなかったことの合理的な理由を示さねばならない可能性があります。

基本的理解が「医師の指示に基づいている場合は、認められる」ですから、最初は、病院での治療を受けましょう!

整骨院で治療を受けたいとき

治療している病院の医師に相談をしましょう。

医師からの指示が得られ、診断書への記入が行われれば、損害として認められることが確実となります。

医師に相談ができない場合

被害者の方は、事前に保険会社に承諾を求めてください。

保険会社は、支払基準に書かれている「免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用」は支払うべきものと認識していますので、駄目だと答えられることは、そうないでしょう。

保険会社の承諾があれば、賠償の対象になります。

交通事故の被害者となってしまったら、一刻も早くケガを直して、再出発したいものです。 そのために、いろいろな治療、施術を行いたいと思うのは、当たり前ですよね。

ただ、ちょっとした注意を怠ってしまって、損害賠償としての治療費として認められないのでは、被害者ばかりが不利益を受けてしまいます。   無駄な出費をしてしまわないよう、注意して治療をなさってください。


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交通事故では、健康保険が使えない・・・?!

日本は、皆保険の国。

我々は、健康保険を使って、医療費の3割を負担することで、治療を受けることができます。 (個人的には、とっても良い制度であると、思っています。)

これは、どんな方でも当然のことと認識していて、医者へ行く際には健康保険書を持参していくわけですが・・・ 交通事故で、治療を受けて「交通事故では健康保険が使えない」ということを言われ、高い医療費にビックリした、といったことを聞きます。

健康保険の使用は

法的には・・・?

ズバリ! 法律では、交通事故による治療に健康保険を使用することが認められています

「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」という、旧厚生省の通達(昭和43.10.12保険発第106号)により、このことは明確に示されています。

この通達では、

「最近、自動車による保険事故については、保険給付(健康保険にによる医療給付等)が行われないとの誤解が被保険者等の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないように住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。」

との内容が、全国市町村に発せられました。

45年前の通達ではありますが、その後にこれを修正するようなものがありませんので、現在においてもこの通達の通り、「交通事故による治療に健康保険を使用することが認められている」との理解で問題ないでしょう。

治療費が高額になってしまっては、任意保険に入っていない加害者や、無保険の加害者など賠償能力がない加害者から、被害者は賠償が受けられません。 こういったことを避け、十分な治療が受けられるようにするには、健康保険を利用した治療により、治療費を抑え、被害者救済を図ることが必要と考えられます。

この被害者救済の考え方は、憲法での生存権の保障に合致すると思われます。

裁判例では

大阪地裁昭和60年6月28日判決においては、

「国保法に基づく療養保険給付は、絶対的必要給付であって、同法が、国民健康保険事業の健全な運営を確保するとともに、偶発的、不可測的事故にあった国民が医療費等の調達のため経済生活の均衡が破れ、経済生活の向上と発展を阻害されることがないようにする為、共同貯蓄制度としての国民健康保険制度をその目的としていることに鑑みれば、交通事故により負傷・疾病した被保険者に対し、療養保険給付が行なわれなければならないことは当然であって、これを排斥すべき理由はない」

と判示して、交通事故による治療に国民健康保険から給付を受けることを認めています。 「交通事故は健康保険が使えない」は、都市伝説どころか、誤った認識です。

なぜ「交通事故は健康保険が使えない」と言われるのでしょうか・・・?

交通事故の被害者となる、つまり第三者によってケガをさせられた場合、加害者が治療費を賠償することになります。

自動車賠償責任保険(自賠責)への加入は義務付けられており、ほとんどの人がこれに加えて自動車保険(任意保険)にも契約しているので、交通事故の治療費は損害保険会社を通じて被害者に支払われ、健康保険を使わなくても被害者に実質的な負担が発生しないことも多くあります。

「保険会社が払うのだから、医療費の高い、自由診療で請求してもいいだろう」といった、判断がされるのでしょうか・・・

しかし、交通事故の損害賠償は、それぞれの過失割合に応じて補償されるので、被害者にも20%の過失があるようなときは、医療費が100万円かかったとすれば、相手方の損保会社から80万円の支払いがあり、残りの20万円は被害者自身の負担になります。

同じ100万円かかっても、健康保険を利用して、3割の30万円を支払った場合、80%の24万円が相手方の損保会社から支払われ、被害者自身の負担は6万円ですみます。

交通事故の治療では、健康保険を活用して被害者自身の負担を抑えることも考えるべき場合もあるでしょう。


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